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  • 執筆者の写真sato

小泉地区の民話「小泉小太郎物語」「大日堂の蜘蛛」

更新日:2018年7月30日

川西に数多く伝わる民話。

今は知る人も少なくなっていますが、「川西郷土研究会」がその民話を守り伝えていこうとしています。

今回は、川西の小泉地区に伝わる民話をご紹介します。


【小泉小太郎物語】

西塩田の手塚にある鞍ヶ淵に住んでいた蛇。

蛇は里人に見つけられ、里人が抱いていた赤子を空に投げ上げて、淵深くに隠れた。

その赤子は小泉山に落ち、この里の老婆に拾われ、育てられた。その赤子が小泉小太郎である。


老婆は小太郎を天から授かった子だとして大事に育てた。

小太郎が7・8歳の頃のある朝、老婆は小太郎に「薪がないから山へ薪を取りに行ってくれ」と言いつける。

小太郎は裏の山へ登っていったが、昼頃になっても帰ってこない。老婆が心配していると、ハギの小束を背負って帰ってきた。

小太郎は「この束は家の外でほどいてください」と言ったが、老婆は夕食の用意でへっつい(竈)のそばで束をほぐしてしまう。

すると、束はみるみるうちに膨れあがり、屋根を押し上げた。小太郎は小泉山のハギを根こそぎ取って束にしたのである。そのため、小泉山にはハギが絶えたといわれている。

小泉山の小泉大日堂へ至る杉並木

この民話は、類似するものが松本のほうにも伝わっており、諸説ある模様。

それらの民話をもとに再話した松谷みよ子著『龍の子太郎』は、有名なテレビアニメ『まんが日本昔話』のオープニング映像のモチーフになっており、また『小太郎と母龍』という作品が同番組で放映されています。


【大日堂の蜘蛛】

小泉村の小泉大日堂には天井がない。


昔、一人の百姓が小泉山に行った。ひと休みしていると、大層眠くなってきて、いつとはなしに眠ってしまいった。

すると一匹の小蜘蛛が現れて、その百姓の足の親指に糸をかけていく。

そこを通りかかって見た人が不思議に思い、眠っていた人を起こして、ただちに糸を指から外し、そばのツツジの株に縛りつけた。


すると、直後にツツジの株は根こそぎ引っこ抜かれて宙を飛んでいってしまった。

二人はたまげて後をついて行くと、株は小泉大日堂の天井に刺さり、蜘蛛は天井に引っ込んでしまった。

それから強い侍を頼み、天井板を外して蜘蛛を退治した。その後、魔物のたてこもらぬよう天井を剥いだままにしておいたため、今も(※)天井がないのである。


(※)民話は天井がないと結ばれていますが、現在の大日堂は内陣のみ天井があります。

小泉大日堂

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